サウンド・オブ・サイレンス
製作 : アメリカ・2001年・114分
監督 : ゲイリー・フレダー
脚本 : アンソニー・ベッカム、パトリック・スミス・ケリー
出演 : マイケル・ダグラス、ショーン・ビーン、ブリタニー・マーフィ、スカイ・マッコール=バートシアク
DON'T SAY A WORD★★★☆☆☆
感謝祭前日のニューヨーク。元同僚のサックス医師から分裂症の患者を診るように頼まれた精神科医のネイサン。患者の少女の名はエリザベス。早速、面談治療を始めたネイサンだが、その日は意味不明の一言を聞き出すのがやっと。が、翌日、ネイサンの愛娘ジェシーが誘拐され、犯人から「エリザベスから6桁の数字を聞き出せ」と要求されます。
序盤であっさりとエリザベスの分裂症は偽りと判明。が、それでもエリザベスを演じたブリタニー・マーフィの演技は印象的。脅え、疲れ切った表情、ひとりで歌う姿は、少しの恐怖すら感じます。このエリザベスといい、誘拐される娘役のジェシーといい、この映画では女性陣が光っています。そして、問題の6桁の数字。これくらい犯人達で何とかならないものか、と思ったりもしますが、あの数字だったら無理か、と納得。展開は無難なものですが、飽きさせずに観せてはくれます。
ただ、ジェシーが誘拐されている間、少しだけ交流のあった犯人のひとりとの設定が全く活かされてなかったのが残念。女性刑事も登場しますが、まるで役に立ってません。そして、夜中に娘が誘拐され、部屋に監視カメラまで設置されているというのに、爆睡しまくっている夫婦。が、多分、私がそこにいても多分寝てると思うのです(笑)

さらば、わが愛/覇王別姫
製作 : 香港・1993年・172分
監督 : チェン・カイコー
脚本 : リー・ピクワー
出演 : レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー、グォ・ヨウ
覇王別姫★★★★★☆
身を持て余した遊郭の母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆。淫売の子として苛められる彼を弟のように庇い、辛い修業の中で常に助けとなる石頭。やがて成長した2人は、それぞれ程蝶衣、段小樓と名前を変え、京劇界きってのスターに。が、辛苦を乗り越え、女形を演じる蝶衣の心は女となり、小樓に深い愛情を抱くようになります。
同性愛を扱った映画ですが、性的描写もなく、いやらしさは全く感じません。むしろ、蝶衣の報われない想いが切なく感じるほど。そんな蝶衣には叶える事の出来ない願望を、女であるという事としたたかさで叶えてしまった菊仙。蝶衣のやるせない気持ちは、性別に関係なく、誰もが理解出来るもの。そして、迎えるラストはひたすら無情。人生の全てを賭けた京劇を失い、愛する小樓から裏切られる蝶衣。小樓の裏切りは、蝶衣の全てを否定されたも同然。あまりに酷すぎます。
蝶衣だけでなく、妻である菊仙をも裏切る小樓に、ただただ呆れるばかり。ラストの菊仙の表情も印象に残ります。が、やっぱりレスリー・チャン。まさにハマリ役で、舞台に上がる姿が本当に綺麗。信じていた京劇の厳しい特訓を弟子に否定される蝶衣、麻薬に溺れる蝶衣の姿も印象的。悲しくて切ない映画ですが、一見の価値はあります。お勧め!

秋菊(しゅうぎく)の物語
製作 : 中国+香港・1992年・101分
監督 : チャン・イーモウ
脚本 : リュウ・ホン
出演 : コン・リー、リウ・ペイチー、レイ・ラオション、コー・チーチュン、ヤン・リュウチュン
秋菊打官司★★★☆☆☆
夫の急所を村長に蹴られ、義妹と共に彼を病院に連れて行った秋菊。夫の怪我は命に別状のあるものではなかったが、何故、村長が夫の急所を蹴るに至ったのかが謎。村長に尋ねても欲しい答えは返ってこなく、秋菊は村長の上の立場となる人物に事件の全容を話す事に。が、結果は村長が夫の治療費と怪我で被った損害を払う事だけだったのです。
秋菊が欲しいものは賠償金ではなく、村長の誠意ある謝罪と和解、ただそれだけ。が、村長に反省の色は見えず、秋菊が欲しい一言も全く出てきません。秋菊は流されるままに村長を訴え、結果として出てきたものは村長に罰を与える事。どんなに秋菊が頑張っても事態は望みとは逆の方向にばかり進み、それにもどかしさを感じます。ただ、急所を蹴られた夫としては、あまり公にはしたくない事だろうな、と(笑)秋菊が夫の立場を考えていたかどうかに、少し疑問が残ります。
ひたすら奔走する秋菊を、コン・リーがさすがの好演。彼女が赤い服と大きなお腹で歩く姿も印象的です。ラストでひたむきに走る彼女の姿は、同じチャン・イーモウ監督作「初恋のきた道」のチャン・ツィイーとダブったりも。また、唐辛子の赤の映え方が本当に綺麗。扱う事件が急所を蹴られた事ではなかったら、もっと感情移入出来たかも。

サイン
製作 : アメリカ・2002年・107分
監督 : M・ナイト・シャマラン
脚本 : M・ナイト・シャマラン
出演 : メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、ロリー・カルキン、アビゲイル・ブレスリン
SIGNS★★★☆☆☆
最愛の妻を突然の事故で亡くした、信仰に篤い牧師のグラハム。その時、ある霊的な現象が起きた事でグラハムは神に対して疑念を抱き、やがて牧師を辞める事に。農夫となったグラハムは、弟と2人の子供達と共に平穏に暮らす日々。が、ある日、農場のトウモロコシ畑に巨大なミステリー・サークルが出現して以来、奇怪が出来事が続発します。
M・ナイト・シャマラン監督の定番とも言える、伏線が至るところに張られています。長女の水に対しての固執、弟の野球での活躍など、様々な描写がこの映画のタイトルのまま「サイン」。そして、描いているのは宇宙人侵略の恐怖だけでなく、家族の絆の再生、失っていた神への信仰を取り戻す事。さらに、コミカルな描写も多々。弟が所持するビデオのタイトル「水着特集」、弟と2人の子供が被る変テコな帽子、最後の晩餐での強引な抱擁など、妙に可笑しいシーンがたくさんです。
また、対照的な描写が多いのも気になるところ。家族の住む家そのものの窓の位置、ミステリー・サークルのニュースを見ている時の家族の座っている位置など、M・ナイト・シャマラン監督だけあって些細な事も気になってしまいます。ただ、宇宙人の姿を出してしまったのはどうかと。それでも、TVに映る宇宙人の姿に驚く弟は面白かったですが。

スティング
製作 : アメリカ・1973年・129分
監督 : ジョージ・ロイ・ヒル
脚本 : デヴィッド・S・ウォード
出演 : ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング
THE STING★★★★★☆
1936年、シカゴの下町。通り掛かりの男をヒッカケて金を騙し取った詐欺師3人組。が、彼らが手にした思わぬ金額の金は、ニューヨークの大物ロネガンの手下が、賭博の上がりをシカゴへ届けるための金だったと判明。怒った組織は、仲間のひとりであるルーサーを殺害。彼の復讐を誓ったフッカーは、助けを求めて、賭博師ゴンドルフを訪ねます。
ゴンドルフ演じるポール・ニューマン、フッカー演じるロバート・レッドフォード、どちらもが本当にかっこ良いです。元々はロネガンの大金を奪ったのが悪いのですが、そんな矛盾を感じさせないほどにゴンドルフ、フッカーの計画が爽快。そして、ゴンドルフを狙うFBI、フッカーを狙う警察官など、様々な人達の絡ませ方も絶妙。伏線も至るところにしっかりと張り巡らされています。
ゴンドルフを狙うFBIとフッカーの取り引きのエピソードが印象的。これも計画のひとつだと思えるものの、フッカーの苦悩の表情を見ているうちに、結局はどちらに転ぶのかハラハラドキドキ。そして、迎えたラストシーン、まさに完璧に練られた脚本。主演2人が素晴らしい事は勿論、70年代を代表する最高の1本。ゴンドルフの全てを見通した不敵な笑いも印象的です。

戦火の勇気
製作 : アメリカ・1996年・116分
監督 : エドワード・ズウィック
脚本 : パトリック・シーン・ダンカン
出演 : デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、ルー・ダイアモンド・フィリップス、マット・デイモン
COURAGE UNDER FIRE★★★☆☆☆
湾岸戦争の際、戦車部隊を指揮していたが、味方の戦車を誤射した過去を持つサーリング大佐。その罪悪感い苛まれ続ける彼に、名誉勲章候補者調査の命令が。候補者は、湾岸戦争で戦死したウォーデン大尉で、不時着したヘリの乗員を救った功績によるもの。が、調査を進めるサーリングは、関係者の証言の微妙な食い違いに気付きます。
名誉勲章候補者調査を命じられたサーリング大佐。関係者に話を聞くものの、それは微妙に食い違ってばかり。が、その証言によって、事故当時の映像がパターンを変えて描かれています。これは幾通りものウォーデン大尉を演じた、メグ・ライアンの好演に尽きるもの。その反面、上層部のだらしなさ、何でも権力で捩じ伏せようとする様は、本当に呆れるばかりです。ウォーデン大尉の家族が受けた彼女の死の痛み、悲しみ、悔しさは、名誉勲章を受勲しただけでは癒されません。
ウォーデン大尉が部下の前で涙を流すシーンが印象的。彼女はその涙の訳を語りますが、それだけではなく、部下達の行動に嘆き、その部下達をまとめられない自分に腑甲斐なさを感じていたように思います。そして、何を思って自分を取り残したまま浮上するヘリを見ていたのか、何を思って炎に包まれたのか、それを考えると本当に切ないです。

ジャンヌ・ダルク
製作 : フランス+アメリカ・1999年・157分
監督 : リュック・ベッソン
脚本 : リュック・ベッソン、アンドリュー・バーキン
出演 : ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・マルコヴィッチ、フェイ・ダナウェイ、ダスティン・ホフマン
JOAN OF ARC★★☆☆☆☆
百年戦争下のフランス。英国軍に両親を殺され、親戚のもとに引き取られたジャンヌ。ある日、教会で神の声を聞いた彼女は、自分が神の使者であると確信。やがて成長した彼女は、王太子に認められ、フランス軍を指揮する事に。彼女のおかげで奇跡的な勝利を収めていくものの、常軌を逸し始めた彼女の行動は、徐々に周りから非難されます。
常に自分の事を神の使いだと言うジャンヌ・ダルク。その神の使いである自分を周りが理解してくれない、と癇癪を起こす姿はかなり魅力薄。母国フランスのための戦いではなく、彼女の自己満足、幼い頃に自分の身代わりとなって殺害された姉の復讐、という印象が強いです。神の使いというより、ただの子供。そして、一番印象に残っているのはジャンヌではなく、冒頭の地図が赤く染められていくところ。領土が広がっていく分、赤=たくさんの血が流されていると感じました。
ジャンヌ・ダルクという女性を崩壊させたのも、火刑に処される事になったのも、全て彼女自身が引き起こしたもの。幼い頃に彼女が受けた衝撃は同情に値しますが、成長してからの彼女の行動は理解し難いものでした。そして、時折り挿入される精神世界の描写も少し苦痛。ただ、ジョン・マルコヴィッチの坊ちゃん刈りは思わず笑ってしまいました。

スタンド・バイ・ミー
製作 : アメリカ・1986年・89分
監督 : ロブ・ライナー
脚本 : レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エヴァンス
出演 : ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル
STAND BY ME★★★★☆☆
スティーヴン・キングの同名小説を映画化。オレゴンの片田舎の夏休み。ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人の少年は、行方不明になった男の子の死体を探そうと、ちょっとした冒険旅行に出かける事に。時には笑い、時には些細な事で怒り、アクシデントに見舞われながらも旅を続ける4人。そして、遂に探していた男の子の死体を発見します。
兄の死と両親からの扱いに悩む少年、今の環境から逃げ出したいと願う少年、父親を崇拝している少年、ちょっと小心者で太っちょな少年。設定はダークなのに、彼らはよく笑いよく泣きよく怒り、本当に純粋です。中でも、少年のリヴァー・フェニックスが本当にかっこ良い!そして、行方不明の男の子の死体を探す冒険旅行に出る4人。この短い旅から得たものは、ただ死体を見る、それだけではなかったはず。彼らにとって、自分自身や環境を見直す良いきっかけになったと思います。
主人公が話す大食い大会、森の沼地でのヒルとの出会いなど、スティーヴン・キングならではなエピソードも多々。他にも、列車に轢かれそうになるエピソード、この時のウィル・ウィートンの顔アップも印象的。が、一番好きなのは4人が冒険旅行に出る前、一列に並んでいる時の周りの空気。夏らしい、むっとした空気が印象的です。

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
製作 : アメリカ・2002年・142分
監督 : ジョージ・ルーカス
脚本 : ジョナサン・ヘイルズ、ジョージ・ルーカス
出演 : ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、イアン・マィディアミッド
STAR WARS: EPISODE II - ATTACK OF THE CLONES★★★☆☆☆
オビ=ワン・ケノービの指導の下、フォースの力を習得し優秀なジェダイの騎士となるべく修業に励んでいた、青年へと成長したアナキン・スカイウォーカー。その頃、銀河元老院ではドゥークー伯爵の画策により、数百もの惑星が一斉に共和国からの脱退を宣言。これにより、元老院ではクローン軍隊の是非を問う重要な投票が行われます。
お約束とも言える冒頭の「スター・ウォーズ」のテーマ曲、共に流れるテロップを観ただけでドキドキ。いつもこの冒頭は感慨深いものがあります。そして、アナキンとアミダラの禁断の恋。青年へと成長した彼は確かにかっこ良いのですが、アミダラが彼を愛するというのがちょっと謎。自分の力を過信しすぎたり、自分の扱いに嘆き、その責任をオビ=ワンに求めるなど、アナキンの内面はお子様。アミダラほどの女性が何故アナキンに惚れてしまうのか、理解不能なのです。
かなり噂にもなっていたヨーダの戦闘シーンに大爆笑。あの変貌ぶりは本当に素晴らしい!(笑)そして、ヨーダ並にビックリさせてくれたのがR2-D2。実は飛べたんですね、知りませんでした。そのR2-D2の相棒C-3POは痛々しいシーンが多くて可哀相な気が。何はともあれ、次の「エピソード3」で「スター・ウォーズ」も完結、今から待ち遠しいです。

聖なる嘘つき/その名はジェイコブ
製作 : アメリカ・1999年・120分
監督 : ピーター・カソヴィッツ
脚本 : ピーター・カソヴィッツ、ディディエ・ドゥコワン
出演 : ロビン・ウィリアムズ、ボブ・バラバン、ハナ・テイラー・ゴードン、アーミン・ミューラー=スタール
JAKOB THE LIAR★★★☆☆☆
第二次世界大戦中、ナチス占領下のポーランド。ジェイコブはユダヤ人居住区ゲットーに住む元パン屋。ある日、ドイツ軍司令部でラジオのニュースを偶然耳にするが、それはドイツの戦況不利を伝えるもの。彼が友人達に伝えたそのニュースは、瞬く間にゲットーに流れる事に。その後、彼は解放が近いというニュースをでっちあげて伝え続けます。
嘘のニュースをでっちあげ、ゲットーに住む人々に希望を与え続けたジェイコブ。確かに希望を持つのは大事で、自殺者が出なくなったのは本当に喜ばしい事。が、このゲットーからは大きな絶望や無気力さなど、ニュースが広まる前からマイナス面があまり感じられず。そんな事もあって、ジェイコブのニュースが命を左右するほど重要なものだとは思えませんでした。そして、ナチス・ドイツがあまりにも優しすぎ。本来なら躊躇なく射殺してるだろうシーンが、多々あります。
ジェイコブが匿っていた少女の、悲痛な叫びが印象的。ただ、ナチス・ドイツを残酷に描けば描くほど、ジェイコブの嘘がもっと希望の源になったので、そのあたりが凄く勿体無い気が。それでも、主演がロビン・ウィリアムズだけあって、程良い(ある意味、無難な)ドラマに仕上がってはいます。それが良くも悪くもあるのですが。