| リトル・オデッサ |
| 製作 : アメリカ・1994年・98分 監督 : ジェームズ・グレイ 脚本 : ジェームズ・グレイ 出演 : ティム・ロス、エドワード・ファーロング、モイラ・ケリー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ ★★★☆☆☆次なる標的を追って、生まれ故郷であるリトル・オデッサに舞い戻ってきた、殺し屋ジョシュア。その兄ジョシュアの帰還を人づてに聞いた弟ルーベンは、こっそり勘当された兄に会いに行く事に。ルーベンは兄に母が長くない事を告げ、厳格な父の留守中に兄を家に招き入れるが、そこへ父が帰宅。ジョシュアは父を殴り倒し、そのまま出て行きます。 設定が真冬という事もあって、周りは一面の雪景色。その雪が、この映画の寂しさを一層引き立てています。そして、リトル・オデッサに舞い戻ってきた、殺し屋のジョシュア。簡単に人を殺せてしまえる非情さを持ちながら、弟の事を大切に思う普通の兄としての一面も。弟を想うあまり、父親を地面に跪かせ、銃口を後頭部に押しつけるシーンが印象的。が、もっと印象的だったのは、イラン人を空き地で射殺するシーン。少しだけ差し込んだ光が、彼の冷酷さを際立たせています。 最愛の弟を亡くし、母親も病で亡くし、恋人も亡くしたジョシュア。全編を通して、ジョシュアの目にはずっと悲しみと孤独が宿っています。映画としては可もなく不可もなくといった感じですが、ジョシュアを演じたティム・ロスはかなりのかっこ良さ。それにしても、ファーロングはこの映画のような悲しみを内に秘めた役が本当に似合います。 |
| ロック・ユー! |
| 製作 : アメリカ・2001年・132分 監督 : ブライアン・ヘルゲランド 脚本 : ブライアン・ヘルゲランド 出演 : ヒース・レジャー、マーク・アディ、ルーファス・シーウェル、シャニン・ソサモン、ポール・ベタニー ★★★☆☆☆14世紀。平民のウィリアムは身分を偽り、騎士しか参加出来ない馬上槍試合の大会に仲間達と共に参加。そんな中、彼はいつも試合を見守る貴婦人ジョスリンに一目惚れ。結果、競技と恋を巡り、名手アダマー伯爵と火花を散らす事に。が、やがてアダマーは戦地に派遣されて欠場を続け、ウィリアムは優勝を重ねるものの、心は満たされないままです。 中世の時代にロック音楽を見事に融合。時代から考えるとおかしいのは当たり前なのですが、あそこまで露骨に、しかも普通にクィーンを歌われてしまうと、逆に清々しく感じます。そして、ある夜のパーティでのダンス。始めのうちは民族的なダンスですが、次第に現代でも見られるようなダンスに変化していく事に。全くもって時代なんてお構いなし、何でもあり。それでも、この映画ではそれも許せてしまえるところがあり、純粋に娯楽映画として楽しめる作りになっています。 話の展開は非常に分かりやすく、悪人はひたすら悪人。途中で登場するエドワード王子も、なかなかおいしいところを持っていってます。また、ウィリアムの仲間が本当に素敵な人達ばかり。中でも、ポール・ベタニー演じる小説家が一番のお気に入り。エンド・クレジット後にはちょっとしたオマケもあるので、観られる時は最後までお見逃しなく! |
| リベラ・メ |
| 製作 : 韓国・2000年・119分 監督 : ヤン・ユノ 脚本 : ヨ・ジナ 出演 : チェ・ミンス、キム・ギュリ、チャ・スンウォン、ユ・ジテ、パク・サンミョン、チョン・ジュン ★★☆☆☆☆釜山市全域で原因不明の火災が頻発。調査員のミンソンは放火の可能性を疑うが、警察の非協力的な姿勢もあって決定的な証拠が掴めない状態。そんな中、匿名の通報で駆けつけた消防隊員サンウ達の目の前で、ガソリンスタンドの地下タンクが大爆発。その後もサンウ達を嘲笑うかのように正体不明の放火犯は街中で放火を繰り返します。 確かに火災シーンは迫力があるし、生き物のように動く炎はなかなかの見もの。が、人間関係は少し分かりにくかったように思います。連続放火犯がサンウに固執するようになる過程も分からないし、サンウのプライベートを知り尽くしているのも謎。そして、犯人の放火の目的も徐々に見えにくくなってきた気が。過去のトラウマを引きずっているのは分かりますが、それだけで片付けてしまうのは勿体無いです。犯人はちょっと異常性があればOK、みたいな印象を受けました。 また、泣かせるための人の死が多すぎ。クリスマスに家族と過ごす事より、消防士としての仕事を選んだ父親。彼の死はまさに泣かせどころだと思いますが、「タイタニック」と同じ演出に思わず苦笑。あまりにも涙を煽りすぎです。が、炎だけは本当に綺麗。もしかすると、犯人のトラウマで一番強かったのは、炎に包まれた姉を美しいと思った事なのかも。 |
| 猟奇的な彼女 |
| 製作 : 韓国・2001年・122分 監督 : クァク・ジェヨン 脚本 : クァク・ジェヨン 出演 : チョン・ジヒョン、チャ・テヒョン、キム・インムン、ソン・オクスク、ハン・ジンヒ、キム・イル ★★★★★☆夜の地下鉄ホームで美しい”彼女”と出会った、性格の優しい大学生キョヌ。が、その時”彼女”は泥酔状態。酔っ払い女な嫌いだったが、倒れている”彼女”を放っておけず仕方なく介抱してホテルへ運んだものの、そこへ警官が来てキョヌは留置場で一晩を過ごすハメに。翌朝、昨夜の記憶がない”彼女”は、怒ってキョヌを電話で呼び出します。 「前半戦」「後半戦」「延長戦」と、サッカーの試合に例えた3部構成になっている映画。そして、何度となく予告で観た「ぶっ殺されたい?」な”彼女”が目の前で動き、殴り、脅す姿はまさに痛快!「前半戦」は”彼女”の猟奇的(=個性的)な部分を中心に笑いをふんだんに盛り込んでいます。また、過激で強烈なインパクトを残す”彼女”は勿論ですが、”彼女”に振り回されるキョヌ君もなかなか。ちょっと可哀相ですが、”彼女”と一緒についキョヌ君を苛めたくなっちゃいます。 が、「後半戦」に入ってからはガラリとイメージが変わり、笑いよりも切なさ。”彼女”の笑顔の下に隠された秘密、そして2人の別れ。中でも、”彼女”の見合い相手に「”彼女”と付き合うための心得」を伝授するキョヌ君が、本当に切ないです。その後に迎えた「延長戦」。運命的な再会を果たし、テーブルの下で繋がれた2人の手は二度と離れる事はないでしょう。 |
| ラスト・プレゼント |
| 製作 : 韓国・2001年・112分 監督 : オ・ギファン 脚本 : パク・ジュンウ、オ・ギファン 出演 : イ・ジョンジェ、イ・ヨンエ、クォン・ヘヒョ、イ・ムヒョン、コン・ヒョンジン、ユン・ジニョン ★★★★☆☆なかなか芽の出ないコメディアン、ヨンギ。彼は親の反対を押し切ってジョンヨンと結婚するも、生まれた息子を幼くして亡くし、しっかり者の妻とは今では口喧嘩が絶えない状態。そんなある日、ヨンギにようやくチャンスが訪れ、お笑い番組の勝ち抜き戦で躍進。一方、ジョンヨンはヨンギに内緒で番組プロデューサーに彼を懸命に売り込みます。 夫婦喧嘩が絶えないヨンギとジョンヨン。2人からは夫婦としての生活は感じられなく、すでに破綻してしまっているようにも見えます。が、夫ヨンギを罵りつつも、彼に黙って自分に出来る限りの手助けをしようとするジョンヨン。そして、妻が不治の病に冒されている事を知っても、妻の病を隠したいという意志を尊重し、知らないふりを続けながら彼女を気遣うヨンギ。本当はお互いがお互いを大切に想っているのに、擦れ違ってしまう2人に苛立ちともどかしさを感じました。 母親のお墓を前に心の内を明かすジョンヨン、最初で最後になっただろう家族写真、ヨンギの成功を見つめながら安らかに息を引き取ったジョンヨン。本当に、泣きどころは満載。そして、ラストになって初めて「ラスト・プレゼント」の意味が分かり、涙は最高潮に達します。不治の病も明確ではなく完璧な映画ではないけれど、私は好きな映画でした。 |
| ロード・トゥ・パーディション |
| 製作 : アメリカ・2002年・119分 監督 : サム・メンデス 脚本 : デヴィッド・セルフ 出演 : トム・ハンクス、ポール・ニューマン、タイラー・ホークリン、ジュード・ロウ ★★★☆☆☆1931年、イリノイ州ロックアイランドの町。良き夫で良き父親であるマイケル・サリヴァンには、町を牛耳るアイルランド系マフィアの幹部という裏の顔が。そんな彼を息子のように愛するボスのジョン。そんなある日、組織の幹部会でヘマをしでかしたと父ジョンに責められたコナーは、次第に追いつめられ、サリヴァンに対する嫉妬と憎悪を抱きます。 トム・ハンクス、ポール・ニューマン、ジュード・ロウの共演が話題になり、それも勿論見ものですが、一番印象に残ったのはコニーを演じたダニエル・クレイグの存在。父親ジョンの愛情が欲しいのに、自分ではなく別の人物サリヴァンに向けられている事への嫉妬。それがとてもリアルに感じます。そして、そんな彼の愚かさを憎みながらも彼を愛し、抱きしめてしまうジョン。お互いが相手を憎みつつも愛している姿は、コニーのインパクトが強かったからこそ、さらに映えていたような気がします。 そして、もう一組の親子、サリヴァンと彼の息子。家族全員が平和に暮らしていた頃は、自分の息子の事をあまりに知らなすぎたサリヴァン。そんな彼が、息子に素朴な疑問を投げかける姿が心に残ります。また、雪や雨が降りしきる真っ暗な夜の情景も印象的。何はともあれ、ジュード・ロウは見事に怪演、ポール・ニューマンはさすがのかっこ良さです。 |
| ライフ・イズ・ビューティフル |
| 製作 : イタリア・1998年・117分 監督 : ロベルト・ベニーニ 脚本 : ヴィンセンツォ・セラミ、ロベルト・ベニーニ 出演 : ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ、ジュスティーノ・デュラーノ ★★★★★☆1939年、小学校の教師ドーラに恋をした、ユダヤ系イタリア人のグイド。彼の純粋さに惹かれた彼女は結婚を承諾。やがて可愛い息子ジョズエが誕生し、幸せな日々を送っていた3人。そんなある日、彼らに突然強制収容所への収監命令が。そんな絶望的な状況をジョズエに悟られないよう、グイドは強制収容所での毎日の生活がゲームだと嘘をつきます。 ユーモアいっぱいで行動が奇想天外なグイド、そんな彼に徐々に惹かれていくドーラ。2人が少しずつ近づいていく過程はとても微笑ましいもの。特に、2人の初デートには爆笑。グイドの行動に唖然としているドーラが笑えます。が、後半では過酷な強制収容所での生活に。幼いジョズエに残酷な現実を見せないよう、グイドがジョズエの周りを嘘で覆い隠す姿に思わず涙。グイドの嘘ひとつ、笑顔ひとつがとても悲しく、とても優しいものでした。同時に、大きな愛情をひしひしと感じます。 そんなグイドに浴びせられる銃声に、思わず言葉を失います。彼ならきっと元気な姿で戻ってくれる、そう信じている自分がいました。ラストで「実は生きてました」な展開は好きではないけれど、この映画のグイドに対しては切実に生を願うばかり。そして、ラストのジョズエの笑顔に思わずまた涙。切なくて悲しくて優しくて暖かい、大好きな1本です。 |
| ロスト・イン・ラ・マンチャ |
| 製作 : アメリカ+イギリス・2001年・93分 監督 : キース・フルトン、ルイス・ペペ 脚本 : キース・フルトン、ルイス・ペペ 出演 : テリー・ギリアム、ジョニー・デップ、ジャン・ロシュフォール、ヴァネッサ・パラディ ★★★★☆☆テリー・ギリアム監督が長年暖めてきた企画「ドン・キホーテを殺した男」。2000年秋、ヨーロッパ資本ではかつてない規模、そしてジョニー・デップをはじめとする豪華キャストで撮影を開始。が、撮影6日目にして中断に追い込まれ、脚本は保険会社に差し押さえられる事に。この映画は、製作中断までの経緯を追ったアン・メイキング・ドキュメンタリーです。 いわくつきの映画、「ドン・キホーテ」の製作に挑戦したテリー・ギリアム監督。が、NATOの戦闘機の騒音、ロシュフォールの病気降板、豪雨によるセット崩壊と、次々に災難に見舞われる始末。初めのうちは災難に見舞われても意欲があり、満面の笑みを浮かべているギリアム監督ですが、次第にその表情は悲哀に満ちてきます。そんな経緯と同時に、関係者のインタビューや絵コンテなど、舞台の裏側もしっかり見せてくれる興味深い構成。またギリアム監督の絵がかなり上手いのです。 ギリアム監督の次回作になるはずだった、「ドン・キホーテを殺した男」。撮影は中断を余儀なくされましたが、最後に流れる巨人トリオの予告編がまだ映画化を諦めていない事を象徴しています。笑いあり、涙ありのメイキング映画で、一見の価値はあり。そして、巨人トリオの予告編を今度は正式な予告編として観れる日を楽しみにしています。 |
| ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 |
| 製作 : アメリカ+ニュージーランド・2002年・179分 監督 : ピーター・ジャクソン 脚本 : ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、スティーヴン・シンクレア 出演 : イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン ★★★★☆☆中つ国では、オルサンクの塔を拠点とするサルマンと、モンドールのパラド=ドゥアの塔にいる冥王サウロンが手を結んだ事で闇の勢力がますます力を増大。そんな中、離ればなれになってしまった旅の仲間たちは、三方に分かれたまま旅を続ける事に。2人だけで滅びの山を目指していたフロドとサム。そんな彼らの後を怪しげな人影が付け回します。 1作目とは違い、仲間がバラバラになっているため、場面が何度も変わります。フロドとサム、メリーとピピン、そしてアラゴルンを中心とする残りの仲間達。大きな戦争が勃発しCGを駆使した映像でしっかり見せてくれますが、フロドの指輪との戦い、ゴラムの善と悪の葛藤、エントの決意、セオデン王の戦争に対する心境の変化など、内面の精神的な描写が多かったように思います。中でも、恐怖と優しさを見せてくれたセオデン王は、誰よりも人間臭く、とても好感が持てます。 が、重要な部分が予告で流されていたのが惜しいところ。ガンダルフの復活が少し焦らした形で描かれますが、彼の登場に驚きや喜びはあまり感じられません。ただ、この2作目はアラゴルンに尽きる1本かと!彼が奇跡的に生還し、セオデンの王がいる広間のドアを開けるシーンが大好き。全体としては、3部作の2作目という事もあって少し落ち着いた印象を受けます。 |
| ラスムスくんの幸せをさがして |
| 製作 : スウェーデン・1981年・105分 監督 : オル・ヘルボム、ロルフ・ハスバーグ 脚本 : アストリッド・リンドグレーン 出演 : エリック・リンドグレーン、アラン・エドワール、エミー・ストーム、パル・スティーン ★★★★☆☆孤児院で暮らす9歳の少年ラスムス。優しい里親を待ちわびながら元気に毎日を過ごしていたが、今日も訪れてきた夫婦に選ばれたのは、巻き毛の可愛い女の子。いい加減待つだけの生活にウンザリしたラスムスは、自ら里親を見つける事を決意。彼は大親友グンナルに別れを告げ、孤児院を抜け出した翌朝、ボサボサ頭のおじさんオスカルに出会います。 元気で明るく、自分の道は自分で切り開こうとするラスムス。そんな彼の姿は、ついつい応援してしまうもの。が、時折り見せる寂し気な表情は、どんなに逞しくてもラスムスはまだ9歳の少年だという現実を教えてくれます。そして、今まで孤児院で生活し、どんな子供が里親に望まれるかを何度となく見てきたラスムス。里親との相性もあるとは思いますが、自分が選ばれないだけでなく目の前で他の子供が選ばれる姿を見るのは、9歳の少年にとってはあまりに過酷な現実です。 そんなラスムスが出会った風来坊のオスカルは、とても優しくユーモアに溢れた人。オスカルがラスムスを受け入れた時は、自分が受け入れられたかのように嬉しくなったりも。ラストで楽し気に歩くラスムスとオスカルの姿は、まるで絵本を見ているようでとても印象に残ります。全体的に笑わせてくれる描写も多々あり、楽しく観れる映画です。 |