魔人ドラキュラ
製作 : アメリカ・1931年・74分
監督 : トッド・ブラウニング
脚本 : ギャレット・フォート
出演 : ベラ・ルゴシ、ヘレン・チャンドラー、デヴィッド・マナーズ、エドワード・ヴァン・スローン
DRACULA★★★☆☆☆
トランシルヴァニアの古城に毎夜現れていた、500年前に死去したはずのドラキュラ伯爵。若い法律家レンフィールはドラキュラの魔気にかかり彼の古城に招き寄せられ、ドラキュラの命ずるままに棺をイギリス行きの漁船に乗せる事に。途中、洋上で暴風雨に遭い、難破した彼らは漁村に漂流、その近所の寺院にドラキュラの棺を安置します。
往年のドラキュラ俳優と言われるだけあって、ベラ・ルゴシが本当にハマリ役。あの貴族然とした貫禄は、ベラ・ルゴシでないと出せなかったかと。レンフィールがドラキュラ伯爵の魔気にかかってしまいますが、彼と彼の古城を前にすれば、そうなってしまうのも頷けます。そして、そのドラキュラ伯爵の人間を引き寄せる独特の手の動き、棺の中から出てくる時の手が印象的。ベラ・ルゴシ自身にインパクトがあるのは勿論ですが、手だけでも見せてくれる事にひたすら感心です。
が、そんなドラキュラ伯爵の最期は、非常に呆気ないもの。ただ、本当にあれで最後なのか、妙に勘ぐってしまうラストではあります。ちなみに、この映画の前後にティム・バートン監督の「エド・ウッド」を観るとさらに楽しめるかと。この映画のベラ・ルゴシの手の動きを、「エド・ウッド」でマーティン・ランドーが忠実に再現しています。

モロッコ
製作 : アメリカ・1930年・92分
監督 : ジョセフ・フォン・スタンバーグ
脚本 : ジュールス・ファースマン
出演 : ゲイリー・クーパー、アドルフ・マンジュー、マレーネ・ディートリッヒ、ウルリッヒ・ハウプト
MOROCCO★★★★☆☆
灼熱の地、アフリカのモロッコに帰還してきたフランス外国人部隊所属のアメリカ人青年トム。名うてのプレイボーイとしても鳴らす彼だったが、とある酒場で放浪の歌姫アミーと出会い、互いに一目で相手に惹かれてしまう事に。が、トムの上官の妻との不倫が発覚し、嫉妬に狂った上官の手によりトムはサハラの戦場に送られてしまいます。
マレーネ・ディートリッヒが本当にかっこ良い!取ってつけたようなポーズが多いですが、それでも彼女がやると見事に様になっています。そして、ハスキーな歌声は勿論のこと、自慢の美脚もしっかり披露。かと思えば、シルクハットを被った男装の麗人姿がまた素敵。ひたすらマレーネ・ディートリッヒに尽きる映画です。が、トム演じるゲイリー・クーパーもさすがの好演。アミーの幸せを願って身を引く潔さ、彼女に残した言葉が印象的。プレイボーイなくせに意外に純情です。
が、何よりも褒めてあげたいのが、アミーに求婚するベシェール氏。決して早くはない結婚、ましてや知人の前でアミーから受ける仕打ちはあまりに酷いもの。それでも、彼はアミーを愛していると言い、彼女の気持ちを尊重し続けます。そんな彼がアミーを引き留めようとするのはラストのみ。その彼よりもトムを選んだアミー、砂漠の風景がいつまでも残ります。

マッチスティック・メン
製作 : アメリカ・2003年・116分
監督 : リドリー・スコット
脚本 : ニコラス・グリフィン、テッド・グリフィン
出演 : ニコラス・ケイジ、サム・ロックウェル、アリソン・ローマン、ブルース・マッギル
MATCHSTICK MEN★★★★☆☆
極度の潔癖症の詐欺師ロイ。が、詐欺を実行している時だけは潔癖症を忘れ、芸術的な手腕を発揮。そんなある日、ロイの前に14歳の少女アンジェラが現れる事に。彼女は離婚した妻との間に生まれたロイの実の娘。突然娘と暮らすハメになり困惑するロイだったが、さらに驚いた事にアンジェラは詐欺師の弟子にしてくれと言い出すのです。
ロイを演じたニコラス・ケイジが本当にハマリ役。何度も鍵を点検したり、鼻をフンフン鳴らしたり、私生活でも極度の潔癖症なんじゃないかと思えるくらい、仕種や表情が徹底されていました。そして、対人関係も苦手な彼が、娘アンジェラを通して変わっていく姿がなかなかの見もの。路線はコミカルですが、さり気なくドラマも描いていて、好感度大な作り方。ちなみに、ニコラス・ケイジは「いち、にー、さん」や「乾杯」など、少しだけ日本語を披露してくれたりもします。
問題となるラストは、キャッチコピー通りに綺麗に騙される事に。まさに、ヤラれた!の一言。が、驚きはあるのですが、ロイの心情を思うと少ししんみりとした気持ちになったりも。ただ、今回の事がきっかけで、ロイが大きく成長したのは確か。ニコラス・ケイジは勿論、サム・ロックウェル、アリソン・ローマンの主要人物が本当にお見事です。

ミスター・ルーキー
製作 : 日本・2002年・118分
監督 : 井坂聡
脚本 : 井坂聡、鈴木崇
出演 : 長嶋一茂、鶴田真由、橋爪功、駒田徳広、國村隼、山本未来、竹中直人
ミスター・ルーキー★★★★☆☆
200X年夏。大阪の希望、阪神タイガースが久々に元気。突如現れた謎の覆面投手MR.ROOKIEが押さえのエースとして大活躍。その謎の男の正体は、10歳の息子と妻のいる32歳のごく普通のサラリーマン大原幸嗣。彼の素質に惚れ込んだ阪神監督は、甲子園限定パートタイムピッチャーとして出場する事を提案します。
ニックネームがMR.ROOKIEだと思っていたのですが、登録名がそのままMR.ROOKIE、背番号は救急番号の119。しかも、彼を演じるのは元巨人の長嶋一茂。元阪神の選手を使うのではなく、元巨人の選手を使っている時点でかなり笑えます。そして、エキストラ出演の阪神ファンの熱狂ぶり。しっかりとMR.ROOKIEの応援グッズも用意されていて、応援する姿は普通の試合の時とほとんど変わりありません。まさに完璧。欲を言えば、あの応援の中に混ざりたかった、という気持ちが(笑)
また、ファンサービスも多々。現在も阪神で活躍する、矢野、桧山、八木、広沢、藪のゲスト出演。元阪神の田淵も解説としてゲスト出演。さらに、1985年に大量のホームランを放ち阪神を優勝に導いた、伝説の外国人選手のあの人も登場します。そして、当然のごとく締めには「六甲おろし」。間違いなく、阪神ファンは必見の映画です!

ムーンライト・マイル
製作 : アメリカ・2002年・116分
監督 : ブラッド・シルバーリング
脚本 : ブラッド・シルバーリング
出演 : ジェイク・ギレンホール、ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、エレン・ポンピオ
MOONLIGHT MILE★★★☆☆☆
1973年、マサチューセッツ州ケープ・アン。婚約者のダイアナと結婚し、彼女の父ベンの不動産業を手伝いながら彼女の家族と新しい生活を始めるはずだったジョー。が、彼女は結婚式の直前、街で起きた発砲事件の巻き添えで亡くなる事に。彼女の両親とジョーは悲劇から身を守るかのように一緒に暮らし、ベンは早速ジョーを連れ仕事に精を出します。
事件の3日前に婚約を解消していた、ジョーとダイアナ。が、ひとり娘を亡くしたベンとジョージョーに、彼はそれをなかなか言い出せません。娘の代わりに自分を必要としている2人、その2人にさらに追い打ちをかけるような事は出来ない、という気持ちはとても理解出来るもの。ジョーは意気地なしとも言えますが、優しすぎたとも言えると思います。そして、多少の傲慢さも感じますが、2人にとってジョーは心の内を明かせる人、痛みを分かち合い縋れる唯一の人でもありました。
が、時には優しさだけでなく、現実を見つめる事も大事。ジョーが法廷でダイアナとの間の真実を話した時、心のつかえが取れたような晴れ晴れとした気持ちになります。ダイアナを亡くしてから止まる事しか出来なかった3人が、前に進み出したのは本当に嬉しい事。多少もどかしさを感じたりもしますが、それぞれの心情が丁寧に描かれています。

マークスの山
製作 : 日本・1995年・139分
監督 : 崔洋一
脚本 : 丸山昇一、崔洋一
出演 : 中井貴一、萩原聖人、古尾谷雅人、名取裕子、小林稔侍、岸谷五朗、西島秀俊
マークスの山★★☆☆☆☆
直木賞を受賞した高村薫の同名小説を映画化。暴力団の元組員・畠山が住宅街の道路上で何者かに殺害され、警視庁の合田警部補が捜査を担当。その数日後、法務省の松井が畠山と同じ手口により殺害される事に。一見、共通点のないような2人だが、捜査を進めるうち2人の間に、あるひとりの弁護士の存在が浮かび上がります。
確執だらけの捜査員達、謎の凶器を使う殺人犯、被害者と弁護士の関係など、ちょっと欲張りすぎ?と思えるくらい、様々な謎が盛り込まれています。が、捜査を担当する合田警部補、障害を持つ殺人犯、それぞれの頭文字を取ってつけられたマークス(MARKS)の秘められた過去の犯罪、それらのどこに視点を当てれば良いのか、正直困惑。しかも、そのどれもが中途半端な感じ。重要となるマークスの中でも印象に残る名前は、林原(りんばら)と自殺を図った木原のみでした。
結局、ラストを迎えてもすっきりする事はなく、見どころと言えるシーンもなし。強いて言えば、死体として登場する畠山役の井筒監督くらいかと。マークスの名前を印象づけるため、それぞれの死と同時に、名前の字幕を出すくらいの配慮が欲しかったような気が。ちなみに、中井貴一はパンツ一丁での靴磨き姿が見られます(笑)

マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
製作 : アメリカ・2002年・96分
監督 : ジョエル・ズウィック
脚本 : ニア・ヴァルダロス
出演 : ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーベット、マイケル・コンスタンティン、レイニー・カザン
MY BIG FAT GREEK WEDDING★★★★☆☆
ギリシャ系アメリカ人のトゥーラは、内気な性格と地味な容姿のせいか、恋愛に縁のない冴えない毎日を過ごす独身30歳。”ギリシャ人の男性と結婚して子を授かり、死ぬまで家族の食事を作ること”がギリシャ女性のすべき事とされる世界にあってこれは一大事。そんなある日、父のレストランで働いていた彼女は、店にやってきた男性に一目惚れします。
ギリシャ系アメリカ人の豪快な性格、度を過ぎるくらいのお節介さ、それらがかなりコミカルに描かれています。体を使った笑い、セリフでの笑い、様々な笑えるシーンは数え切れないほど。いつでもギリシャ人至上主義を唱えるトゥーラの父親は鼻持ちならない時もありますが、それもコミカルさで上手くカバーしているかと。そして、徐々にトゥーラの家族のテンポに乗せられていく、イアンの両親に思わず爆笑。他にも、ギリシャ人の習慣などを垣間見せてくれたりもします。
ラストでは、トゥーラの両親が結婚式でプレゼントした新居の落ちもしっかりと用意。ロマコメ映画ですが、人種間の問題も描かれているので、何気に奥は深いです。が、トゥーラの夫となったイアン。騒々しすぎる家族に囲まれ、少し可哀相な気もします(笑)何はともあれ、主演ニア・ヴァルダロス自身の体験を基にしている、というのが凄い!

ミニミニ大作戦
製作 : アメリカ・2003年・111分
監督 : F・ゲイリー・グレイ
脚本 : ドナ・パワーズ、ウェイン・パワーズ
出演 : マーク・ウォルバーグ、エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、セス・グリーン
THE ITALIAN JOB★★★★☆☆
イタリア、ベニス。最新型金庫に厳重保管されている50億円相当の金塊を強奪する計画を立て、その道のプロフェッショナルを集めた天才的な知性を持つ窃盗のプロ、チャーリー。が、仲間のひとりの裏切りで金塊のみならず、チャーリーが父のように慕っていたジョンを命を奪われてしまう事に。その1年後、彼は奪われた金塊の再奪取を計画します。
冒頭から水の都ベニスでのボートチェイスを派手に見せてくれます。そして、50億円相当の金塊を強奪する方法は、奇想天外な作戦によるもの。しかも、銃を一切使わない、あまりに紳士的な泥棒達。そんな彼らがあっさりと逃げ切る姿は、まさに痛快そのものです。それは、1年後に舞台をロサンゼルスに移してからも変わる事はありません。ステラを使ってスティーヴに近づくチャーリー達、金塊再奪取の壮大な計画。最初から最後まで、飽きる事なく引きつけっぱなしの展開です。
そして、その計画に欠かせないのがミニ・クーパー。色とりどりのミニ・クーパーが本当に可愛い!スティーヴを陥れるのに、あの時と同じ手法を使うのもご愛敬。プロフェッショナル達のそれぞれの特技や魅力も、充分に引き出されていたと思います。ちなみに、お気に入りはセス・グリーンとジェイソン・ステイサムの2人でした。

めぐりあう時間たち
製作 : アメリカ・2002年・115分
監督 : スティーヴン・ダルドリー
脚本 : デヴィッド・ヘア
出演 : ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ、ジョン・C・ライリー、エド・ハリス
THE HOURS★★★★☆☆
1923年、ロンドン郊外のリッチモンド。作家ヴァージニア・ウルフは「ダロウェイ夫人」を執筆。1951年、ロサンゼルス。理想の妻を演じる事に疲れ始めていた、「ダロウェイ夫人」を愛読する妊婦ローラ・ブラウン。2001年、ニューヨーク。「ダロウェイ夫人」の主人公と同じ名前の編集者クラリッサ・ヴォーンは、あるパーティの準備に取りかかります。
時は違えど、彼女達に共通するのは「ダロウェイ夫人」。それぞれが自分の現状に満足出来なく、本当の自分があるべき場所を求めています。3人が3人共、思い悩む表情が多いので、言いようのない圧迫感に襲われますが、映画のテンポは良いかと。そして、彼女達といつも隣り合わせなのが死。ヴァージニアは入水自殺、ローラは自殺は思い止まったものの家族を捨てて孤独な生を望み、クラリッサは元恋人リチャードが目の前で飛び降り自殺。どこにでも死がついて回っています。
また、リチャードの幼少時代の姿、死を選んだ彼の姿も印象的。全体的に悲しい印象を受けますが、終盤では少しだけ希望を見せてくれた気も。ヴァージニアとローラは自身や家族を犠牲にして自分の精神を満たしたけれど、クラリッサはこれからも生き続けると感じました。各時代の主人公を演じた女優3人は勿論、観終わった後の余韻が素晴らしいです。

マトリックス リローデッド
製作 : アメリカ・2003年・138分
監督 : アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
脚本 : アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出演 : キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング
THE MATRIX RELOADED★★★☆☆☆
自分が暮らしていた世界がコンピュータが作り出した仮想現実の世界と知り、モーフィアス率いるゲリラ集団に加わり、やがて人類の救世主として覚醒したネオ。人類を解放するため闘いを続けるネオ達だったが、ある時ついに人類最後の都市ザイオンの位置をコンピュータに特定される事に。ザイオンを救うため、ネオ達は”キー・メーカー”を探します。
予告を観た時から気になっていた、トリニティ演じるキャリー=アン・モスの着地シーン。中盤くらいに観れるだろうと思っていたら、いきなりオープニングで登場。このシーンは本当にかっこ良かったです。そして、一番の見せ場となるのは、ネオ演じるキアヌ・リーヴスのアクション。相変わらずの静と動で表現したアクションで、しっかりメリハリをつけてくれます。が、あまりに大量増殖したエージェント・スミスに爆笑。あれはいくらなんでも多すぎでしょう!(笑)ネオに遊んでもらっている子供達、な感じでした。
また、アクションも充分に見せてくれますが、今回はちょっと恋愛要素が濃い目。ネオとトリニティは勿論、あのモーフィアスにも過去の恋人が出てきたりして、今後の展開が気になるところ。ついでに、ラストは少年マンガの「待て!次号!」のような唐突な終わり方。秋公開の「マトリックス レボリューション」まで思いっきり焦らしてくれます。