マトリックス
製作 : アメリカ・1999年・136分
監督 : アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
脚本 : アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出演 : キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング
THE MATRIX★★★★☆☆
ニューヨークの会社でしがないコンピュータプログラマーとして働くトマス・アンダーソン。彼には裏世界の凄腕ハッカー”ネオ”というもうひとつの顔が。ある日、ネオはディスプレイに現れた不思議なメッセージに導かれるまま、謎の美女トリニティと出会う事に。そして、彼女の手引きで電脳世界で伝説を化している男モーフィアスと接見します。
映画の舞台設定、全編を通しての映像、一番の見せ場となるカンフー・アクション、音楽、その全てが魅力的。かなり斬新で、新しい試みに挑戦しているのが分かります。そして、一番期待していたのが、キアヌ・リーヴスが仰反って銃弾を避けるシーン。が、このシーンよりも、ネオとトリニティがモーフィアス救出のため、ビル内に強行潜入するシーンがお気に入り。銃撃戦が終わった後、2人が何事もなかったかのようにバッグを拾い上げ、普通に歩くシーンが一番印象に残ってます。
ただ、少し気になるのは、ネオが救世主になれるかどうかの条件が途中であっさりと読めてしまった事。特別それが分かっても話的に問題はありませんが、この点だけが少し単純な設定のような気がしました。心に残るまでの映画ではないけれど、アクション映画としては良質。キアヌ・リーヴス、キャリー=アン・モスもハマリ役です。

ムーラン・ルージュ
製作 : アメリカ・2001年・128分
監督 : バズ・ラーマン
脚本 : バズ・ラーマン、クレイグ・ピアース
出演 : ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント
MOULIN ROUGE!★★★★☆☆
1899年、夜のパリを象徴する魅惑のナイトクラブ”ムーラン・ルージュ”。その豪華で華麗なショーは人々を魅了。が、実のところ派手な電飾に金をかけすぎて経営は火の車。そこでオーナーのジドラーは、新たな投資家として資産家の公爵に狙いを定め、新しいショーの主役サティーンをあてがう事でその資金を引き出そうと考えます。
何と言ってもひたすら豪華。綺麗な電飾の数々、”ムーラン・ルージュ”でのショー、それをさらに引き立ててくれるのがニコール・キッドマンの美しさ。が、綺麗なだけでなく、演出がなかなかコミカルで笑えるシーンもチラホラと。クリスチャンを隠すサティーンのあたふたっぷりも可愛い!そして、ミュージカルで印象に残っているのは、”ムーラン・ルージュ”のオーナー、ジドラーのマドンナの楽曲。舞台は1899年ですが、マドンナの他にもニルヴァーナなど、近年の曲が多く使われています。
舞台で行うショーと同じくして、クライマックスへと突入するクリスチャンとサティーン。2人が歌う歌詞はかなり恥ずかしいものですが、この映画ならありかと。そして、サティーンの見開かれた目が印象的。大抵は綺麗に目を閉じて終わりとなりますが、サティーンは最期の力で目を閉じるのではなく、初めて愛したクリスチャンを見つめ続けます。

メメント
製作 : アメリカ・2000年・113分
監督 : クリストファー・ノーラン
脚本 : クリストファー・ノーラン
出演 : ガイ・ピアーズ、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ、マーク・ブーン・Jr
MEMENTO★★★★★☆
ロサンゼルスで保険の調査員をしていたレナード。ある日、何者が家に侵入し、妻がレイプされた上に殺害されるという事件が発生。その光景を目撃してしまったレナードはショックで前向性健忘になり、記憶を数分しか保てない体に。彼は記憶を消さないためポラロイドにメモを書き、体にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かりを追っていきます。
冒頭にラストを持ってくる映画は多いですが、この映画は最初から最後まで、時間をずっと遡っていきます。普通の映画とは逆になるけれど、一応は一方通行、話を逆に辿っていけば良いだけ。が、これが簡単なようでいて結構難しいです。話を分かってるつもりでも、言いようのない不安に駆られる事も多々。それでも、レナードの撮ったポラロイド写真、その写真に書き込まれたメモや全身のタトゥー、それらの意味が徐々に明らかになっていく過程は、かなり心地良いものです。
ただ、レナード自身のキャラクターはかなり薄め。が、この映画ではレナードの人物像は必要なく、「妻をレイプされた上に殺害され、それがきっかけで10分しか記憶が保てなくなった」、これだけで充分。いつまでも残るのはレナードではなく話の展開と構成、思いっきり編集の勝利!本当に、悔しいくらいにまんまとしてヤラれました。

モンスターズ・インク
製作 : アメリカ・2001年・92分
監督 : ピート・ドクター
脚本 : ダン・ガーソン、アンドリュー・スタントン
声の出演 : ジョン・グッドマン、ビリー・クリスタル、メアリー・ギブス、ジェームズ・コバーン
MONSTERS, INC.★★★★★☆
子供部屋のクローゼットの向こう側に広がるモンスターの世界。彼らは夜な夜なドアを開いては子供達を怖がらせているのだが、実は彼らは”モンスター株式会社”のれっきとした社員。この会社は、モンスターシティの貴重なエネルギー源である子供達の悲鳴を集めるのが仕事。が、最近の子供達は簡単には怖がってくれず、経営が苦しくなります。
モンスター達が可愛くて本当に魅力的。大きな体で子供の悲鳴獲得ポイント1位、でも根は誰よりも優しいサリー。少し自分一番な考え方はあるものの、サリーの良き相棒で親友のマイク。そして、サリーと悲鳴獲得ポイントを競い合うも、いつも負けてしまうランドール。そんなモンスターシティに人間の子供が乱入、そのパニックへの対応が面白いです。何たって、レスキュー隊まで出動。このシーンだけでなく、モンスター達の一挙手一投足はかなりコミカルで笑えるものでした。
が、ブーがサリーの仕事の顔を見てしまった事から、脆くも崩れ去る2人の関係。この時のサリーの表情が切なくて悲しくて、思わず泣きそうになりました。それでも、ラストでは2人の関係も修復し、万々歳な終わり方。モンスターズ株式会社も、子供の悲鳴から笑いへと経営方針が変化します。ちなみに、しっかり楽しませてくれるエンド・クレジットも必見です。

マイ・ルーム
製作 : アメリカ・1996年・99分
監督 : ジェリー・ザックス
脚本 : スコット・マクファーソン
出演 : メリル・ストリープ、レオナルド・ディカプリオ、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ
MARVIN'S ROOM★★★☆☆☆
実家から遠く離れて暮らしていたリー。が、その姉ベッシーは、寝たきりの上に痴呆症の父親と叔母の面倒を診るため、自分の人生を犠牲にして実家に住み続けている状態。そんなある日、リーは2人の息子を連れて、20年ぶりに実家へ戻る事に。それは、ベッシーが白血病にかかっている事を知り、骨髄移植の検査を受けるためだったのです。
常に自分中心に物事を考えるリー。そんな母親に苛立ちを覚え、反抗的な態度を取る長男。2人はお互いを理解出来ないまま、白血病に冒された姉ベッシーの住む実家へ戻ります。が、リーの息子2人にとっては、初めて会う伯母達。長男は母親とは違うタイプの伯母に警戒心を抱くけれど、それは徐々に薄れ、打ち解け合っていきます。そして、誰も聞いてくれなかった長男の苛立ちの原因を、親身になって聞くベッシー。彼女は唯一、長男を理解しようと努力してくれた人でした。
が、やっぱり長男は精神的に子供すぎ。車を運転出来る年齢に達しているにも関わらず、自宅を放火するのはあまりに幼稚。そして、誰も自分の事を分かってくれないと殻に籠る前に、彼にはもっとやるべき事があったはず。映画としては数々の病気を扱っていますが、至って前向き。観終わった後味が悪くなる事はないと思います。

マン・オン・ザ・ムーン
製作 : アメリカ・1999年・119分
監督 : ミロス・フォアマン
脚本 : スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー
出演 : ジム・キャリー、ダニー・デヴィート、コートニー・ラヴ、ポール・ジアマッティ
MAN ON THE MOON★★★★☆☆
35歳で他界した伝説のコメディアン、アンディ・カフマンの伝記映画。売れないコメディアンとしてライブハウスを転々としていたアンディ・カフマン。ある日、彼にチャンスが訪れ、絶大な人気を得る事に。が、その成功とは裏腹にパフォーマンスは過激さを増し、次第に中傷の渦に巻き込まれ、彼を理解していた人々も徐々に離れていきます。
アンディ・カフマンの芸風はかなりブラック。相手を苛立たせ、自分を悪者にして笑いを取っていきます。突飛な行動、差別的な発言も見られ、嫌悪感を抱く人も多々。が、逆の見方をすれば、彼の芸風は予想もしない事が起こる、という魅力も持っています。そして、喜怒哀楽で一番大きな感情は怒り。その怒りは、時に滑稽にもなるもの。彼はその一番強い感情を使って、笑いを取ろうとしただけのような気が。ただ、その方法には絶対に超えてはいけない一線があるのも確か。
自分の病気を周りにすぐには信じてもらえない悲しさ、縋るように試みた治療法の実態を見てしまった時の絶望、後半のカフマンはかなり痛々しいです。また、診察台に寝ていたカフマンが、棺桶の中で寝ているシーンに変わってしまうのも印象的。彼の芸風と同じく、この映画の評価も分かれると思いますが、私はなかなか好きな映画でした。

息子の部屋
製作 : イタリア・2001年・99分
監督 : ナンニ・モレッティ
脚本 : ハイドラン・シュリーフ
出演 : ナンニ・モレッティ、ラウラ・モランテ、ジャスミン・トリンカ、ジュゼッペ・サンフェリーチェ
LA STANZA DEL FIGLIO★★★☆☆☆
妻パオラ、娘イレーネ、息子アンドレアと幸せに暮らす、精神科医ジョバンニ。が、ある日、アンドレアが突然の事故死。父ジョバンニは事故の当日、息子と約束をしていながら急患の往診に出た自分を責め、仕事も辞めてしまう事に。家族はいつまでも悲嘆に暮れ、いつしかお互いの関係さえも悪化。そんなある日、息子宛に1通の手紙が届きます。
ジョバンニの一家は理想的な家族。夫婦仲も良く、年頃の息子や娘と両親の仲も申し分なし。が、そんな家庭を襲った長男の死。事故の当日に往診に出てしまった父親は自分を責め、母親は息子の死を嘆き涙に暮れる毎日、娘はそんな両親を支えなければという重荷を背負い、それぞれが出口を見付けられないまま悩み続け、家族の心はバラバラになっていきます。その誰もの気持ちが理解出来る分、本当に切ない限り。誰が悪いわけでもなく、誰に責任があるわけでもありません。
そんな中、届いた1通の手紙、息子のガールフレンドの存在。家族の誰もが知らないところで、ひっそりと恋をしていたアンドレア。彼女が手にした写真は、家族の知らない表情を見せるアンドレアばかり。その写真は静かに訴えてくるものがあり、思わず泣けてきます。音楽も印象的で、思い返す度にじわじわと味の出てくる映画だと思います。

ミリオンダラー・ホテル
製作 : ドイツ+アメリカ・2000年・122分
監督 : ヴィム・ヴェンダース
脚本 : ニコラス・クライン
出演 : ジェレミー・デイヴィス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、メル・ギブソン、ジミー・スミッツ
THE MILLION DOLLAR HOTEL★★★☆☆☆
ロサンゼルスのダウンタウンにあるミリオンダラー・ホテル。そこは、社会からはじき出された人々が住みついた場所。そこに暮らす知能障害者のトムトムは、親友イジーの死に落ち込む日々。が、イジーが大企業の御曹司だった事から、彼の父親がホテルにFBI捜査官を派遣。これがきっかけとなり、トムトムは恋していたエロイーズと急接近します。
ミリオンダラー・ホテルの住人は、全員が全員、別世界に生きているかのよう。誰ひとりとして感情移入も理解も出来ないですが、この映画の雰囲気と映像だけは好き。中でも、空の色がかなり印象的。そして、ホテルの屋上から飛び降り自殺をしたイジー、その捜査と住民の計画が入り乱れる中、トムトムは以前から想いを寄せていたエロイーズと急接近。この2人の関係は純愛そのもので、とても可愛らしいもの。が、2人の関係が深くなっていくにつれて、切なくもなっていきます。
個性的な面々のホテルの住人達ですが、中でも、自分がビートルズのメンバーだと信じている男性が印象的。が、この映画を観ていると、彼らは本当に障害を持っているのか、疑問に思えてきます。映画の中でさらに演じているような、ちょっと不思議な感覚。ちなみに、お気に入り俳優ティム・ロスがノークレジットでイジーを演じています。

マネートレーダー/銀行崩壊
製作 : イギリス・1998年・104分
監督 : ジェームズ・ディアデン
脚本 : ジェームズ・ディアデン
出演 : ユアン・マクレガー、アンナ・フリエル、イヴ・ベネトン、ベッツィ・ブラントリー
ROGUE TRADER★★★☆☆☆
全世界を衝撃のニュースが駆け巡った、1995年2月27日。1763年に創業され、”女王陛下の投資銀行”とまで言われたイギリスの名門ベアリングズ銀行が破綻。デリバティヴ(金融派生商品)取引で約8.6億ポンド(約1380億円)という巨額の損失を出したのが原因。しかも、その損失はたったひとりの28歳のトレーダーによって出されたのです。
トレーダーの仕事はギャンブルに近い感じ。これから先を予想して何を買って何を売るか、競馬でどの馬が来るか予想して馬券を買うのと、あまり大差がないような気がしました。そして、名門ベアリングズ銀行を破綻に追いやったニック・リーソン。勿論、最大の原因は初期の段階での報告を怠った彼にあるけれど、彼の出す利益に目が眩み、厳密な審査をしなかった上層部も同罪。が、もし88888のフォルダを調べていれば、”もし〜していれば”を挙げていくとキリがないです。
ニックを演じたユアン・マクレガーはなかなかの好演。彼の苦悩だったり喜びだったり、様々な表情を見れるのが楽しいです。そして、ニック達トレーダーの制服が、阪神タイガースを連想させてくれるもので私的にかなりツボ。阪神なユアンが見たい人は是非!ちなみに、過去にもベアリングズ銀行は破綻しかけ、その時も別のニックという青年が絡んでいたそうです。

ミフネ
製作 : デンマーク・1998年・98分
監督 : ソーレン・クラーク=ヤコブセン
脚本 : ソーレン・クラーク=ヤコブセン、アナス・トーマス・イェンセン
出演 : アナス・ベアテルセン、イーベン・ヤイレ、イエスパー・アスホルト、ソフィエ・グロベル
MIFUNES SIDSTE SANG★★★☆☆☆
子供の頃、ミフネごっこをして遊んだある兄弟。弟はトシロー・ミフネの真似をして兄を喜ばせ、知的障害を抱える兄にとっての弟は、強くて絶対に諦めない七人目のサムライ。そして時は流れ、そんな兄弟の絆も忘れて野心家となった弟は、天涯孤独を装い、都会で全く違う人生を歩み始める事に。が、父の死をきっかけに兄と弟は再会します。
故三船俊郎のオマージュ的映画。本人が登場する事はないけれど、ルードとクレステンの兄弟にとってミフネは重要な存在となっています。田舎出身である事、家族がいる事を隠し、社長令嬢と結婚したクレステン。彼は野心家で、誰よりも成功を望む人。結婚した女性との事も社会的地位を得るためだけのステップのように感じます。が、父親が亡くなった事で状況が一変。ただ、ルードと接するうちに、クレステンの中の幼い記憶が蘇り、徐々に本来の自分を取り戻していきます。
クレステンの着る服が汚れていくのに対して、心がどんどん綺麗になっていくのが印象的。そして、ルードの影響を受けたのはクレステンだけではなく、住み込みのメイドと彼女の弟も徐々に心を開いていきます。ルードの存在は、汚れ、疲れ切った人達の心を綺麗に洗い流してくれるかのよう。クレステンがサムライごっこをしている姿は、何とも微笑ましいです。