ウェルカム!ヘヴン
製作 : スペイン+フランス+イタリア・2001年・108分
監督 : アグスティン・ディアス・ヤネス
脚本 : アグスティン・ディアス・ヤネス
出演 : ヴィクトリア・アブリル、ペネロペ・クルス、ファニー・アルダン、ガエル・ガルシア・ベルナル
SIN NOTICIAS DE DIOS★★★★☆☆
地上で暴力や犯罪が多発している現在、天国では昇ってくる魂が激減し、破産の危機に直面。一方、地獄は墜ちてくる魂が急増し、過密状態。そんな中、天国に地上の女性からの願いが届き、その願いを叶えるため、天国一のクラブ歌手ロラを使者として地上に送り込むことに。が、地獄も負けじとウェイトレスをしているカルメンを送り込みます。
ペネロペ・クルスが本当に可愛くてかっこ良いです。中でも、夜遊びに繰り出す前に「カンフー・ファイティング」の音楽に合わせて踊る姿が最高すぎ!他にも、豪快で大胆な行動の数々、事ある事に殴られる姿、中指を立てて威嚇する姿、その全てが見事にハマってました。そして、対するヴィクトリア・アブリルはエレガントで優しく、大人の女性の魅力がたっぷり。特に、天国のクラブで歌う姿が本当に綺麗。ただ、地上にいる間は魅力が半減してしまったように見え、それがちょっと残念だったりもしました。
天国ではフランス語、地獄では英語、地上ではスペイン語と、場所によって公用語が変わっているのも面白いです。そして、天国での上品な世界とモノクロ映像、地獄でのライブハウスを連想させる世界とカラー映像も印象的。それにしても、気になるのは何故マニの魂でなければいけなかったのか?ということ。彼は話の中心にいるのに、存在感も薄かったです。

アバウト・シュミット
製作 : アメリカ・2002年・125分
監督 : アレクサンダー・ペイン
脚本 : アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
出演 : ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ホープ・デイヴィス、ダーモット・マローニー
ABOUT SCHMIDT★★★★☆☆
この日、勤め先の保険会社で定年退職を迎えた66歳のウォーレン・シュミット。明日からは新たな人生のスタート。が、会社中心の生活リズムが染みついていたせいか、シュミットは手持ち無沙汰な日々が続くことに。そんなある日、妻ヘレンが急死。そして葬儀の準備に追われるシュミットの元へ、愛娘ジーニーが婚約者ランドールを伴い戻ってきます。
定年退職に加え、妻の急死、娘の結婚など、様々な人生の岐路に立たされたウォーレン・シュミット。当たり前の日常がなくなった時の手持ち無沙太な感覚、失って初めて気付く大切な人、幾つになっても人は多くを学べていないこと、新たに学ぶことが多いと改めて実感します。そして、例外なく誰もにやってくる老い、いつかは味わう本当の意味での孤独。コミカルに描かれている部分が多いですが、その裏にはしっかりと盛り込まれた深いメッセージが。それらをジャック・ニコルソンが見事に好演しています。
自分は今まで何のために頑張ってきたのか?自分は今まで誰かを幸せにした事があったのか?そんな自問自答を繰り返すシュミットを、ラストでは優しく包み、誰にでも自分を必要としている人がいる事、自分を思ってくれる人がいる事を改めて気付かせてくれます。それにしても、キャシー・ベイツの裸体にはビックリ!あれはまさに体当たりの演技です(笑)。

愛してる、愛してない…
製作 : フランス・2002年・96分
監督 : レティシア・コロンバニ
脚本 : レティシア・コロンバニ
出演 : オドレイ・トトゥ、サミュエル・ル・ビアン、イザベル・カレ、クレマン・シボニー
A LA FOLIE... PAS DU TOUT★★★★☆☆
フランス、ボルドー。心臓外科医のロイックと恋人関係にあった、美術学校に通うアンジェリク。彼には弁護士で妊娠中の妻ラシェルがいるが、離婚は時間の問題。絵を描いている時もアンジェリクの頭の中はロイックのことでいっぱい。が、裁判所の前で寄り添っているロイックとラシェルを目撃した頃から、アンジェリクの様子がおかしくなっていきます。
2部構成になったサスペンス仕立てのラブ・ストーリー。アンジェリクの視点で描かれる前半では、彼女とロイックは恋人同士。彼に裏切られ、酷く傷付けられても、彼を信じようと懸命に努力するアンジェリクの姿が本当に健気。徐々に彼女の行動が過激にはなっていくけれど、それでもまだ彼女の行動は可愛い範囲のもの。2人の出会いの記念日にバラを贈ったり、彼の誕生日にプレゼントを贈ったりと、普通の恋する女性そのものです。彼女に決定的なまでの落ち度はなく、ロイックの冷たさが目立ちます。
が、ロイックの視点で描かれた後半で、前半のアンジェリクの行動を全て種明かし、状況は一変。彼女の妄想だけで作られていた恋人同士という関係、彼女が友人にバイクを借りた理由。アンジェリクの行動に悩まされるロイックが本当に哀れ。その後に迎えるラストも印象的。前半の可愛いイメージ、健気さを、後半ではものの見事に崩してくれます。

おばあちゃんの家
製作 : 韓国・2002年・87分
監督 : イ・ジョンヒャン
脚本 : イ・ジョンヒャン
出演 : キム・ウルブン、ユ・スンホ、ミン・ギョンフン、イム・ウンギョン、トン・ヒョフィ
THE WAY HOME★★★★★★
母親と2人でソウルに暮らす7歳の少年サンウ。夏のある日、サンウは失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、今まで会った事のない田舎のおばあちゃんの家へ預けられる事に。が、都会暮らしに慣れているサンウには、田舎の生活はあまりに退屈。その上、話す事も読み書きも出来ないおばあちゃんをバカにし、サンウは何かと不満をぶちまけます。
都会育ちで反抗的な少年サンウと、寛容で愛情溢れるおばあちゃん。耳が聞こえず、話す事も出来ないおばあちゃんをサンウがバカにする姿は、観ていて本当に辛かったです。何で酷い子なんだろう…、と悲しい気持ちでいっぱい。が、そんなサンウをおばあちゃんは叱る事がないどころか、いつでも彼の願いを叶えようと一生懸命。健気で優しく、暖かすぎるおばあちゃんの姿に、ただただ涙が止まりませんでした。おばあちゃんの表情ひとつ、眼差しひとつ、仕種ひとつ、その全てがとても印象的です。
見事なまでの泣き映画ですが、押し付けがましいところは全くなし。言葉が少ない分、感情だけが心に響きます。その反面、コミカルさ(サンウの髪型に爆笑!)もしっかりと用意されている周到さ、まさに完璧。そして、ラストがまた暖かくて再び涙。文句なしで大好きな映画、おばあちゃん最高。観終わった後には、心が洗われたような気持ちになります。

鬼が来た!
製作 : 中国・2000年・140分
監督 : チアン・ウェン
脚本 : チアン・ウェン、ユウ・フェンウェイ、シー・チェンチュアン、シュー・ピン、リウ・シン
出演 : チアン・ウェン、香川照之、チアン・ホンボー、ユエン・ティン、ツォン・チーチュン
鬼子來了★★★★☆☆
第二次世界大戦の終結が迫りつつあった1945年の旧正月直前、中国・華北の寒村。ある夜、「私」と名乗る男に拳銃を突き付けられ、ふたつの麻袋を押しつけられたマー。その中にはそれぞれ、日本兵と通訳の中国人が。マーは慌てて村の長老たちに相談、もし日本軍に見つかれば村人の命はなし。結局、約束の晦日まで2人を匿います。
一番笑ったのは、捕らわれの日本兵を演じる香川照之が中国語を話す姿。一緒に匿われている中国人に言葉を教えてもらうけれど、まるで意味の通らないことを叫ぶばかり。本人は村人を罵って刺激しているつもりだけど、実際に言っている中国語を訳すと「お兄さん!お姉さん!明けましておめでとうございます!」なのです(笑)。これをもの凄い勢いで何度も何度も繰り返すから、本当にひたすら爆笑。突然現れた謎の男「私」の存在から話が膨らんでいく様も、なかなか楽しめるものです。
そして、戦時中を舞台にしていても、受ける印象はどこかほのぼの。が、終盤で一気に映画の質が変わってきます。村人を虐殺するシーン、ひとりの中国人の首を刀で落とすシーンなど、衝撃的なシーンが多々。これらのシーンも印象に残るけれど、一番インパクトがあるのは「お兄さん!お姉さん!明けましておめでとうございます!」、これに尽きます。

イルマーレ
製作 : 韓国・2001年・97分
監督 : イ・ヒョンスン
脚本 : ヨ・ジナ
出演 : イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、チョ・スンヨン、ミン・ユンジェ、キム・ジム、チェ・ユニョン
IL MARE★★★★☆☆
1999年12月。「イルマーレ(海)」と名付けられた海辺の一軒家から引っ越す事になったひとりの女性。彼女は新たな住人に宛てた手紙を郵便受けに置いていくことに。が、その手紙を受け取ったのは、なぜか2年前の1997年現在そこに住んでいる青年。始めは互いにいたずらと思っていたものの、確かに過去と未来が繋がっている事を確信します。
チョン・ジヒョンがやっぱり可愛い!ただ、彼女の泣き顔は観ているこちらも切なくなるので反則だと思うのです。そして、イ・ジョンジェが本当に好青年、かなり好み。それぞれが互いの心の隙間を埋めるかのように時間を超えて知り合ったけれど、出会うべくして出会った二人だと思えます。こうなってしまえばストーリーの突拍子のなさは二の次、ただ時間の壁が悔やまれるばかり。また、それぞれの時で相手の存在を感じ取るシーン、駅のプラットホームでのすれ違いも印象的で、もどかしい気持ちになります。
彼の死のきっかけは途中で読めるけれど、それでも彼女と同じだけのショックを受けます。そんな中、ラストで初めて同じ時に出会った二人。本来なら彼はそこにいないはずですが、彼が亡くなる未来、彼が生きる未来、その2つの未来があっても良いのではないかと。あのラストは二人の幸せを願った人達に向けた、ささやかなプレゼントだと思えます。

アウトサイダー
製作 : アメリカ・1983年・92分
監督 : フランシス・フォード・コッポラ
脚本 : キャスリーン・クヌートセン・ローウェル
出演 : C・トーマス・ハウエル、ラルフ・マッチオ、マット・ディロン、ダイアン・レイン
THE OUTSIDERS★★★☆☆☆
オクラホマ州タルサ。この町は、貧しい“グリース”達が住むイースト・サイドと、金持ちの“ソッシュ”達が住むウエスト・サイドに二分。ある日、グリースのポニーボーイとジョニーが夜の町を歩いていたところ、酒に酔ったソッシュ達に絡まれてしまうことに。ポニーボーイを助けようとしたジョニーは、正当防衛で逆に相手のリーダーを刺し殺してしまいます。
代表的な青春映画ですが、軽めな感じではなく結構シビア。田舎町に育ったグリースと、高級住宅街で育ったソッシュ。彼らは互いに敵対心を抱くと同時に、憧れの気持ちを抱いていたような気がします。グリースはソッシュの恵まれた環境に、ソッシュはグリースの家族以上の絆に。もしジョニーが相手のリーダーを刺殺した事件でお互いの立場が逆だったとしたら、ソッシュが仲間のためにジョニーと同じ行動に出るとは思えません。それほどまでにグリースの絆は深く、何物にも代え難いものなのです。
ジョニーの刺殺事件は勿論、火事現場での救出活動も印象的。そして、この青春時代を通して誰よりも成長したと思えるポニーボーイ。振り返る青春時代としては辛いことが多すぎますが、彼にとって生涯忘れることのない時になったはず。また、スティーヴィー・ワンダーの「ステイ・ゴールド」がこの映画にピッタリで、観終わった後もいつまでも耳に残ります。

アビエイター
製作 : アメリカ・2004年・169分
監督 : マーティン・スコセッシ
脚本 : ジョン・ローガン
出演 : レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセール、ジョン・C・ライリー
THE AVIATOR★★★★☆☆
18歳で亡き父の事業を引き継ぎ、大富豪となったハワード・ヒューズ。1927年、21歳の彼は莫大な財産を注ぎ込み、航空アクション映画「地獄の天使」の製作に着手。1930年に完成させて大ヒットを記録。やがて、女優キャサリン・ヘップバーンと出会い、恋に落ちた二人。その後、航空会社TWAを買収し、大空への夢も実現させていきます。
幼い頃のトラウマから、極度に潔癖症なハワード・ヒューズ。彼が大きな夢を次々に実現させていっても、ずっと細菌が手から落ちないと思い込んでいたように、決して心が満たされることがなかったのは明らか。誰もに羨まれる立場にありながら、当の本人の心は乾いていたなんて、何て皮肉、何て悲しい。それも大富豪という肩書の代償かもしれないけれど、若くして孤児となった彼に代償を求めるのは酷な気も。結局、彼の手元に最後まで残ったものは何だったんだろう?と、ふと考えてしまいます。
複数の女優と浮名を流すも、ことごとく破局。男女問わず、彼の事を理解している人もいただろうけど、それを彼自身が実感していたかは疑問。映画では描かれていなかったけれど、晩年の孤独な隠遁生活、亡くなった時に彼だと識別してもらえなかった事が本当に空しい。歴史に名を残した人であっても、彼の人生は悲痛だったような気がしてなりません。

いかレスラー
製作 : 日本・2004年・92分
監督 : 河崎実
脚本 : 右田昌万、河崎実
出演 : 西村修、AKIRA、石田香奈、ルー大柴、きくち英一、中田博久、テリー伊藤
いかレスラー★★☆☆☆☆
超日本プロレスのリングでIMGP王者決定戦が行われ、見事新チャンピオンに輝いた田口浩二。が、コミッショナーからチャンピオンベルトを手渡されようとしていたその瞬間、なんとリングに巨大ないかが登場し、田口に闘いを挑む始末。いかに必殺の関節技をかける田口だったが全く効かず、逆にノーザンライト・スープレックスでKOされてしまいます。
他のB級映画と一括りにするのがおこがましいと思える映画。全編を通しての粗すぎる映像、あり得ないくらいの大根演技、行き当たりばったり的な脚本、本当に全てがどうしようもないものばかり。見どころと言えるのは、いかがプロレスをするシーンのみ。が、それがハマる人にはハマるのかも?と思えたりも。そんな完全なる脱力系おバカ映画で、着ぐるみのいかはそれなりに良い感じ。ただ、そこに恋愛を持ってきてしまうのはどうかと…。ヒロインの心の移り変わりなんて、はっきり言ってどうでも良いことなのです。
それでも、いかレスラーが一躍地元の有名人になり、ヒーロー化するのは笑えます。また、ルー大柴は映画と同じ脱力系ギャグを連発。プロレス好きな人には楽しめるかもしれませんが、一般的にはあまりお勧めは出来ないかと。この手の映画なら、巨大なえびが人間相手にボクシングをする「えびボクサー」(故郷を思うえびが妙に可愛い!)の方が面白いです。

男たちの挽歌
製作 : 香港・1986年・95分
監督 : ジョン・ウー
脚本 : ジョン・ウー
出演 : チョウ・ユンファ、ティ・ロン、レスリー・チャン、エミリー・チュウ、レイ・チーホン、ケン・ツァン
英雄本色★★★★★☆
香港の紙幣偽造シンジケートに属するヤクザで、相棒のマークと共に恒達財務有限公司のボス、ユーの片腕的存在のホー。が、ホーの弟キットは警察官。彼は兄の悪行を知る由もなく、恋人ジャッキーをホーに紹介。そしてある日、組織の仕事で台湾に飛んだホーは、取引きの最中、相手の内紛に巻き込まれて警察に捕まってしまいます。
香港ノワールの代表作。兄弟愛、友情、裏切り、憎悪、絶望、その全てが無駄なく盛り込まれています。キットが兄ホーを憎む気持ちも分かるけれど、それを受け入れた上で弟キットを思いやるホーの姿が本当に切なく辛いもの。序盤に2人の仲の良さを観ている分、その気持ちも倍増です。そして、ホーとマークの篤い友情がかなりの見もの。マークが料理店で銃撃戦を繰り広げる姿、シン達にリンチされる姿も圧巻。鼻血が吹き出す様をスローで正面から捉えた画を初めて観たような気がします。
が、何よりも衝撃的なのは、壮絶なマークの最期。そして、キットが持つ手錠を自身の手で自身の腕にかけるホーの姿。ひたすらに熱く、重く、悲しい映画ですが、前半はかなりコミカル。そのコミカルさが、ホー、マーク、キットの関係の深さをさらに増す形となっています。それにしても、マーク演じるチョウ・ユンファが本当にかっこ良すぎてヤバイ!